2025年3月 宇宙戦艦ヤマト 全記録展
第一作のTV放送から50周年を迎えた「宇宙戦艦 ヤマト」の主に1作目のTVシリーズを中心とした貴重な資料を集めた展示が渋谷 西武百貨店で開催されました。
というわけで見学してきた画像中心、キャプションほぼなしのレポです。
公園通りに面した玄関口の柱のサイネージもヤマトのみで展開。
庵野秀明氏の直筆ヤマト
7Fがメイン展示会場。
入ってスグには、印象的なイメージとして有名な朽ちた戦艦大和
当初の企画案は艦体の周囲を小惑星で囲んで偽装した形だった。
敵も「ガミラス」ではなく「ラジェンドラ」で、イスカンダルは2万光年先とかなりご近所
上のメカはラジェンドラ側?
大きなクチに三角の目と ガンダムに出てきたMAザクレロっぽい。
小惑星を艦体に吸着させて全体が小惑星の地形になっているが、山あり川あり湖に滝もありという設定だったらしい。
アメコミっぽいいうか タツノコのガッチャマンぽいデザインライン
レジェンドの松本零士氏が参加しキャラクターとメカが我々の知る「ヤマト」になっていく。
ヤマトというなら「戦艦大和」のモチーフをもっとデザインに導入していこうということで、小惑星吸着の設定はなくなりスタイリッシュに
これ 当時の現物が展示されているので鉛筆のタッチまで読み取れました。
第三砲塔の直上の黒いベタはアニメセル用の絵の具がこぼれて出来たシミらしい。
放送前の宣伝用の資料。
艦体全体の形状が戦艦大和の影響を大きく残していて艦首の波動砲周辺がシンプルなラインで艦体の断面が四角に近いタイプ。
カタパルト下のコスモゼロ格納庫。
艦体後部にこれだけのスペースがあるかというと・・・
艦体側面のミサイル発射口
マジンガーZや怪獣の内部図解があったようにヤマトも内部のメカ構成図があった。
艦体の周りの石の円環は 当初の企画にあった小惑星吸着 -> 適宜外して防御円環にするという「アステロイドリング」という機構。
冥王星での決戦時に使われたが レギュラー武器にはなれなかった。
あまりない右舷上方から見た設定画の現物。
中央の茶色い変色はセロテープでつないでいたためらしい。
放送版よりイカツい沖田艦長に この時点から変わらない佐渡先生。
ヤマトの艦体の赤い部分が色指定のミスで甲板直下くらいまで広い。
ガミラス艦の縞迷彩はTVアニメでは動かせないと却下された。
波動エンジンと波動砲の間のエネルギー伝達経路はわりとナゾ。
艦首ミサイルも予備弾の数と格納箇所が謎でもある。
各話での色指定原画
これもセロテープでの変色がある原本
キャラクター設定画の原本。
筆致も判る。
波動砲関連の設定画
コスモゼロの機体全体がクサビ形になっていることが判る
沖田艦の設定画の実物。
アニメ誌やムック本では何度も見た設定画も実物で線の強弱まで見れると感動もひとしお
第一話の名セリフ
SNSでも話題になっていた 長らく行方不明だった「夕日に染まる 朽ちた戦艦大和」の現物。
「昔、アニメーターだった人が記念にもらって 額装して家に大切に飾っていた」ものらしい。
「親の顔より見た第一艦橋」(^^)
戦艦大和が出航する回想イメージシーン用の「戦艦大和」の絵
リメイク版では「ガミラスに侵略され恭順した民族」となったシュルツ。
この設定追加のせいで「地球側も素直に恭順しとけば、地球ごと滅亡しかけることもなかったのになぁ」となってしまった(^^;)
実力次第で辺境であっても最前線基地の司令官となり、旗艦まで任される出世ができるんだからねぇ・・・
この冥王星でのシュルツら追撃艦隊との決戦でアステロイドリングが活躍。
現物だから判る鉛筆のタッチ
艦長室の設定画。
デスラー
デスラー機雷の急所。
古代進の回想シーンで出てくる実家。
新年を祝う餅つきを特殊なフィルム状ドームで気密を保った甲板で行うエピソードの設定
荒れた地球の様子では地下都市での横浜駅界隈が。
ドメル将軍の旗艦
当時の雑誌や漫画での展開の様子。
当時は「メカが描ける」というのはプロの漫画家でも一部の人だけだったらしい。
内部構造再現ヤマト。
1978年頃にあったものの補修版なのか、その後に再製作されたものかは不明。
この内部メカの作り込み方が70年代っぽい。

メインノズルが細長い解釈
会場のアチコチある足元注意看板
通信士 相原の地球で困窮する両親。
相原の設定年齢などから この二人は40代後半から50歳くらいのはずで、当時の「アラフィフ」のイメージが伺える。
三段空母
ドメル将軍の前任ゲールの「趣味の悪い部屋」の設定。
アバンギャルドな作品がお好みらしい。

雷撃機は前後に2本の魚雷を抱えていると判明。
劇中ではよく判らない部分。
みんな大好き ドリルメカ
主砲発射音などオリジナルの効果音を聞くコトができるコーナー
ついにイスカンダルに着いた! と思ったら ガミラス本星と二重惑星だった!!
見てる方は中盤で明かされてた設定も劇中キャラにとっては驚愕の事実ですねぇ。
スターシアの原画
ガミラス星の内部構造

敗戦から30年経ってない戦時を知る人たちがいた時代
イスカンダルでコスモクリーナーDのパーツを搬入していた自動搬入機。
今なら コンテナ輸送用AIドローン と呼ばれる未来メカとはいえ、数カットだけのゲストメカに関節までキチンと設定されていた。
ガミラス本星を喪ったデスラーの艦
デスラー艦が突っ込んでもいいように、展望室が設定画での位置からだいぶ後ろに描写されている。
「てれびマンガ」って呼ばれてた時代、エンディングでこの美女がドーンと画面に出て
「♪あのこ~が 振っていた~ 真っ赤なぁ~ スカーフ~」
と流れたら そら脳内焼かれますわなぁ。
7F会場出口では沖田艦長や 古代進&森雪と 並んで写真が撮れる
4Fの「365cafe」ではコラボメニューが展開。
ドリンク類についてくるコースター
店内の展示エリアにはデスラー像や沖田十三像などが展示
壁にはこんな装飾も




2品をオーダーしてランチョンマット2種をゲット。
それぞれ220円でラミネート加工もしてくれるとのこと。
ディストピア飯 1300円
チョコブリオッシュ系のパン、パテ、抹茶わらび餅 という「艦内食糧事情は厳しい」を実感させる組み合わせ(^^)
抹茶タルト
関係者のサイン色紙
ソフビ人形?も新製品として企画進展中らしい。
カフェ利用者が書けるノートにあった ファンの方が描いた美麗なイラスト入りメッセージ。
これだけの絵を短時間で描けるのがスゴい。

2Fではこれまで販売されたグッズ類の紹介と物販
メカコレと呼ばれた当時1つ100円のプラモ
古代と森雪のお面は初めてみた。
アニメージュ創刊号など
最初の発売時は時代の要求からゼンマイ走行できるようになってたヤマト
もちろん第三艦橋は存在しない。
ポスターなどのイメージとおりの迫力のプラモ!
実は艦首側を大きくデフォルメした「イメージモデル」だったのでした。
実写版ヤマト (木村拓哉主演なので キムタク・ヤマトとも呼ばれる)の巨大模型
上映当時のプロモーションで製作されたもの。無事に保管されていたのですねぇ。
実物の船舶に準じた喫水目盛やバルバスバウ周辺のディティールが特徴
砲身が太めな解釈。
ショックカノンは粒子ビームだけでなく実体弾も発射できる設定なので、ここまで太いと砲尾周辺の機構が難しいコトになるんだけどなぁ・・・
実写版でもやっぱり・・・なコトになった第三艦橋
岸壁に停泊していたらこんな感じで見えるはず

50年に渡るヤマトシリーズの年表
テレビの番組欄を集めて保存してた人がいるんですねぇ。
雑誌「OUT」がアニメや特撮メインになるきっかけの号
元々は他の特集にあるように探偵小説を特集したり、ロス市警ドキュメンタリーだったりした雑誌だったのでした。
リリース時期的には劇場版2作目「さらば宇宙戦艦ヤマト」より後と思われる「VHD版ヤマト」
VHDはレーザーディスクと同時期に展開された 静電容量記録式(ベースは磁性体メディア)のビデオ再生できる円盤でした。
こちらの「VIDEO DISC」表記のはたぶんレーザーディスクと思われ、1980年以降に販売されたものです。
当時の12800円は 今の感覚での価格だとざっくり3倍くらいで、4万円弱という感じですか。
最初の映画公開時の売れまくってたという記事。
これも「新聞を読む大人層には実感がないけど、若年層に大人気です」という紹介でした。
ヤマトの大ヒットがきっかけでアニメ専門雑誌「アニメージュ」創刊
メカ設定が出来た時点ではまだ名前が確定していなかったらしい。
でもなんで「アンドロメダ」なんでしょうねぇ。
劇中での命名由来は特に設定されてないので不明なはず。
テレザート星のテレサの設定原本とそのクリンナップ設定画
今ではテレサといえば 池田瑛紗さんなわけですが。
今の目で見ると 八嶋智人さんソックリなキャラ
1978年=ガンダム放送の1年前 という時系列で振り返ると色々な意味で転換点だったと言えそう。
ここで劇場版の「さらば・・・」と違う結末にしたことで 続編の製作が可能となって毀誉褒貶が激しくなっていく。
この頃は正直「まだ続編をやるの?」との評判が立ってしまっていた。
2009年の復活編は この後に続編が続く予定での企画だったが叶わず。
実写版ともキムタク版ともいわれる「SPACE BATLLESHIP ヤマト」
CGで描写されたヤマトの細部ディティールに色々とツッコミがあったり、SF小説としてのヤマトに準じたプロットの致命的な欠陥などもあったりしたのが惜しい。
細部のディティールを入れる前の3DCGヤマト
艦首から艦体中央部につらなるライン取りなどかなりのヤマトメカ オタクの理想が集約された好デザイン。
最初のテレビシリーズをベースにしたリメイク版
デスラーのキャラクターや次元潜航艇の扱いなどにクセがあるものの 「1974年時には色々と限界があった部分を 真摯に昇華した」という点で素晴らしいシリーズ
これが作品の質としても収益としても好調だったことが今回にまでつながったと言える。
「ヤマト2」をベースにしたリメイク版
CGでのメカは流麗になったものの 新規追加の空母型アンドロメダ級やコスモタイガー1のデザインの酷さに中途リタイア。
この手のデザインは 大昔のエヴァのLDジャケットを想起させますね(^^)
2012年からのリメイク版での音楽展開
このあたりは「昭和」の頃のLPレコード
当時は「アニメの主題歌」を人気歌手が歌うというコト自体がスペシャルなことでした。
演歌歌手として大御所ともいえる立場だったはずの 島倉千代子も歌っていた
沢田研二が人気絶頂期だった頃
「テレビまんが」と「アニメーション」の記述の違いから、上段はTV放送当時で下段は 映画公開後のものではないかと推測。
リメイクの2199は良かったんですよ。
2199以降のリメイク版での描写に準じた ヤマトの劇中での出来事年表。
西暦2145年の「第二次世界大戦終結二百年祭」というのが リメイクの2199ではあえて触れなかった「現実の戦艦大和は艦体が大破分断されて
バラバラに海底にある」ことと、
斜めに傾いで眠る「朽ちた戦艦大和」との整合性をとろうとして、
リメイク版2202の展開時に「終結二百年のイベントとして 戦艦大和を再建して海底に沈めた」エピソードを追加したのでした。
まさに蛇足の極みであり、その余計な設定追加で「かつての戦艦が宇宙戦艦としてよみがえって人類を救う」という作品テーマの根幹も崩す大愚行。
今もプラモの展開は地道に行われている
会場限定?での物販コーナー
アクリルスタンドはお手頃価格と飾るスペースの節約という点で普及しているもののちゃんとした立体モノが充実してほしいところ。
缶バッチはランダム封入ではなく好きなのを選べる親切な販売方法
ゆきかぜのスノードームはなかなかの高価格
純金12gで55万円という超高額商品
以前 DVDボックスの特典として企画製造された「庵野秀明 監修の宇宙戦艦ヤマト」が単体のプラモとしてリリース予定。
このヤマトはリメイクでの2199版ではなく、TVシリーズベース(両者では設定の全長など色々と諸元から異なっている)
1/700で 8800円は「プラモとしては高額だけど、ガレージキットと考えれば格安」という悩ましい価格。
35mmの銀塩フィルムのパトローネのキーホルダー・・・ 対象年齢が伺えますねぇ
オシマイ