27話:

すべては、リドの闇から始まった。
人は生まれ、人は死ぬ。
天に軌道があれば、人には運命(さだめ)がある。

炎に追われ、閃光に導かれ、辿り行く果ては何処。

だが、この命、求めるべきはなに。
討つべきはなに。
そして、我はなに。

次回「運命(さだめ)」

目も眩む破壊の中を、キリコが走る。
 
 
 

28話:

宇宙の闇を、ただ行く。
巨大な鉄の箱が乗せているのは、夢か、地獄か。

男の愛が、女の希望が、巨大な鉄の箱のなかで、育まれる。
二人はゆだねた、姿現さぬ支配者に。
やがて破られるであろう、しばしの安息を。

次回「二人」

スペース・オデッセイの幕が開く。
 
 
 

29話:

過去からの銃弾が、魂を射抜く。
傷ついた魂は、敵を求めて暗闇を彷徨う。
レッド・ショルダーの光、
レッド・ショルダーの影、
レッドショルダーの痛み。

砕けたはずの過去、死んだはずの過去が、キリコの新たな謎を発掘する。

次回「幻影」

病んだ魂は、戦いに安息を求める。
 
 

30話:

この、果てしなく広がる闇は、輝く星のためにあるとしたら。
今日という日が、明日のためにあるとしたら。

天国は、この地獄の隣にあるはずだ。
ここはもう充分見た、充分に。
たとえそこが禁断の地であろうとも。

次回「不可侵宙域」

だが、今日という日が、昨日のためにあるのだとしたら。
 
 

31話:

なぜにと問う。
ゆえにと答える。

だが人がことばを得てより以来、
問いに見合う答えなどないのだ。

問いが剣(つるぎ)か、答が盾か。
果てしない撃ち合いに散る火花。

その瞬間に刻まれる影にこそ、真実が潜む。

次回「イプシロン」

飢えたる者は常に問い、答の中にはいつも罠。
 
 
 

32話:

愛の究極に、
憎しみの究極に、
ともに潜むのは殺意。

完全なる殺意は、もはや感情ではなく、冷徹なる意志。

人は神に似せられて創られたという。
それでは、神の意志に潜みしものは、愛か、憎悪か。

次回「対決」

キリコは、神を挑発する。
 
 
 

33話:

赤い空、赤い土。
かつて流されたおびただしい血がこびりついた、不吉な星。
ここには、メルキア装甲騎兵団特殊任務班X−1
レッド・ショルダー の鋭い爪あとが刻まれている。

次回「惑星サンサ」

かつてこの星には、赤い肩をした鉄の悪魔が蠢いていた。
 
 
 

34話:

たとえそれが、夢の中の出来事であろうと、
思い出すのもおぞましい事がある。

ましてや、この身、この体に染みついた火薬の臭いが、
逃れられぬ過去を引き寄せる。

目に焼きつく炎、耳にこびりつく叫喚。
赤い星、惑星サンサが呻く。

次回「死線」

復讐するは、我にあり。
 
 
 

35話:

家族、望み、笑い、涙。
かつてこの星に息づき、あふれていたもの。

それらは、ある日焼かれて、ひと握りの砂となった。
砂はまかれて地表を覆い、砂漠となった。

いま、嵐が砂を巻き上げる。
怒りと悲しみの星の素顔が、荒れた空気にさらされる。

次回「恩讐」

吹きつける砂粒が、心に刺さる。
 
 

36話:

求めても、求め得ぬもの。
望んでも、望み得ぬもの。

狂おしいまでの渇きが、
叶わぬ思いが、殺意と闘志を生む。

心に地獄を持つ者同士の、不可思議なる合意が、
壮烈なる対決を生む。

次回「虜」

流される己の血潮で、渇きを癒す。
 
 
 

37話:

なぜ、どうして戦う。なぜ銃を向けあう。

ともに落ちた地の底で、互いの心の中をのぞく。

そこには、荒涼たる砂漠のなか、暗夜に銃を求めて立ちつくす、
孤独な己の姿があった。

次回「暗闇」

死が互いをわかつまで。
 
 
 

38話:

己れの放った銃弾が、鏡の中の己れを撃ち砕く。
飛び散る破片とともに、見えなくなる自分。

遥かな宇宙の彼方、もう一人の自分を映し出す鏡を
求めて、クエントへ。

次回「パーフェクト・ソルジャー」

この体のなかに潜むものは、なんだ。
 
 

39話:

始めから感じていた、心のどこかで。

強い憎しみの裏にある渇きを。
激しい闘志の底に潜む悲しみを。

似た者同士。

自分が自分であるために、捨ててきた物の数を数える。
声にならない声が聞こえてくる。

次回「仲間」

一足先に自由になった兵士のために。