だが、この糸はなんのために。
たぐりたぐられ、相寄る運命(さだめ)。
だが、この運命(さだめ)はなんのために。
炎熱のクメンに第2幕が開く。
次回「疑惑」
まだ、黒子は姿を見せない。
撃針が、空の薬室を撃ち、空しい音をたてたとき、
皮肉にも生の充足が魂を震わせ肉体にあふれる。
ロシアンルーレット。
この、危険な遊戯が・・・、
これこそがこ世に似合うのか。
次回「掃討」
弾倉がまわれば、リスクがあがる。
戦いの果てに理想を見るのが幻想にすぎないことは、
兵士の誰もが知っている。
だが、あの瞳の光が、唇の震えが幻だとしたら。
そんなはずはない。
ならば、この世のすべては幻想にすぎぬ。
では、目の前にいるのは誰だ。
次回「再会」
劇的なるものが、牙をむく。
天が軋み、人々は呻く。
舞台がまわれば、吹く風も変わる。
昨日も、今日も、明日も硝煙に閉ざされて見えない。
だからこそ、切れぬ絆を求めて、あせぬ愛を信じて。
次回「急変」
変わらぬ愛などあるのか。
歴史の果てから、綿々と続く愚かな行為。
ある者は悩み、ある者は自らに絶望する。
だが、営みは絶えることなく続き、
また誰かがつぶやく。
たまには火薬の臭いをかぐのも悪くない。
次回「思惑」
神も、ピリオドを打たない。
火薬の臭いに導かれ、地獄の炎に照らされて、
アストラギウス銀河の星屑のひとつで出会った、
60億年目のアダムとイブ。
これは、単なる偶然か。
次回「フィアナ」
衝撃のあの日からをトレスする。
ある者は、ただその日の糧のため、引き金を引く。
ある者は、理想のために己の手を血潮に染める。
また、ある者は、実りなき野心のために、
硝煙と死臭にまみれる。
雨は汚れた大地をみそぎ、流れとなり、川となって常に大海をめざす。
次回「溯行」
人は流れに逆らい、そして力尽きて流される。
芽生えた意識は行動を、
行動は情熱を生み、
情熱は理想を求める。
理想はやがて、愛にゆきつく。
愛はすべてに呵責なく干渉し、創造の嵐を育む。
そして、放たれた雷(いかずち)は誰を撃つ。
次回「触発」
必然たりえない偶然はない。
せめぎ合う欲望と、絡み合う縁。
弾幕をくぐり抜けたとき、 突然現れた一刻の安らぎ。
沈みゆく夕陽に、ふたつの影が重なる。
だが、思いは、切なくすれ違う。
次回「錯綜」
夜の闇が茶番を隠す。
戦いの果てにしか安らぎは来ないものなら、
己れの血のたぎりに身を任せよう。
それぞれの運命(さだめ)を担い
男たちが昂然と顔を上げる。
次回「横断」
放たれた矢は、標的を射るか、地に落ちるか。
人は、なぜ。
理想も愛も牙を飲み、涙を隠している。
血塗られた過去を、見通せぬ明日を、
切り開くのは力のみか。
次回「潜入」
キリコは、心臓に向かう折れた針。
奥クメンを荒れ狂う狂気と殺戮。
因習も伝統も火に焼かれ、波にのまれ、
過去へと流され行く土砂流。
悲劇は堆積され、歴史となり、神話となる。
次回「肉迫」
キリコは、歴史の裂け目に打ち込まれた楔。
薄れ行く意識の底に、仁王立つ数々の修羅像。
耳に残る叫喚、目に焼きつく炎。
次の旅が始まる。
旅と呼ぶにはあまりに厳しく、
あまりに悲しい、
過去に向かってのオデッセイ。
次回「暗転」
キリコは、次の巡礼地に向かう。