14話:

遥かな宇宙の闇を走り、破壊の街に曲折し、
動乱の泥濘にもまれても、
なお、きらりと光る一筋の糸。

だが、この糸はなんのために。

たぐりたぐられ、相寄る運命(さだめ)。
だが、この運命(さだめ)はなんのために。

炎熱のクメンに第2幕が開く。

次回「疑惑」

まだ、黒子は姿を見せない。
 
 

15話:

まわる弾倉、起きる撃鉄。こわばった指がトリガーを引く。

撃針が、空の薬室を撃ち、空しい音をたてたとき、
皮肉にも生の充足が魂を震わせ肉体にあふれる。

ロシアンルーレット。

この、危険な遊戯が・・・、
これこそがこ世に似合うのか。

次回「掃討」

弾倉がまわれば、リスクがあがる。
 
 
 

16話:

愛を見たのが幻想なのか、心の乾きが幻想を生むのか。

戦いの果てに理想を見るのが幻想にすぎないことは、
兵士の誰もが知っている。

だが、あの瞳の光が、唇の震えが幻だとしたら。
そんなはずはない。

ならば、この世のすべては幻想にすぎぬ。
では、目の前にいるのは誰だ。

次回「再会」

劇的なるものが、牙をむく。
 
 

17話:

変わる、変わる、変わる。
この世の舞台をまわす巨獣が、
奈落の底でまた動き始めた。

天が軋み、人々は呻く。
舞台がまわれば、吹く風も変わる。

昨日も、今日も、明日も硝煙に閉ざされて見えない。
だからこそ、切れぬ絆を求めて、あせぬ愛を信じて。

次回「急変」

変わらぬ愛などあるのか。
 
 

18話:

再戦のための停戦。
破壊のための建設。

歴史の果てから、綿々と続く愚かな行為。
ある者は悩み、ある者は自らに絶望する。

だが、営みは絶えることなく続き、
また誰かがつぶやく。

たまには火薬の臭いをかぐのも悪くない。

次回「思惑」

神も、ピリオドを打たない。
 
 
 

19話:

運命(さだめ)、絆、縁(えにし)。
人間的な、あまりに人間的なそんな響きはそぐわない。

火薬の臭いに導かれ、地獄の炎に照らされて、
アストラギウス銀河の星屑のひとつで出会った、
60億年目のアダムとイブ。

これは、単なる偶然か。

次回「フィアナ」

衝撃のあの日からをトレスする。
 
 
 

20話:

人は、戦場になにを求める。

ある者は、ただその日の糧のため、引き金を引く。
ある者は、理想のために己の手を血潮に染める。

また、ある者は、実りなき野心のために、
硝煙と死臭にまみれる。

雨は汚れた大地をみそぎ、流れとなり、川となって常に大海をめざす。

次回「溯行」

人は流れに逆らい、そして力尽きて流される。
 
 
 

21話:

大いなる偶然がすべての始まり。

芽生えた意識は行動を、
行動は情熱を生み、
情熱は理想を求める。

理想はやがて、愛にゆきつく。

愛はすべてに呵責なく干渉し、創造の嵐を育む。
そして、放たれた雷(いかずち)は誰を撃つ。

次回「触発」

必然たりえない偶然はない。
 
 
 

22話:

炎熱のジャングルが、狂気をはらむ。
それぞれの望み、それぞれの運命(さだめ)。

せめぎ合う欲望と、絡み合う縁。
弾幕をくぐり抜けたとき、 突然現れた一刻の安らぎ。

沈みゆく夕陽に、ふたつの影が重なる。
だが、思いは、切なくすれ違う。

次回「錯綜」

夜の闇が茶番を隠す。
 
 
 

23話:

嵐が吹かねば、太陽が輝かぬとするなら、
大地を走る無謀なる風となろう。

戦いの果てにしか安らぎは来ないものなら、
己れの血のたぎりに身を任せよう。

それぞれの運命(さだめ)を担い
男たちが昂然と顔を上げる。

次回「横断」

放たれた矢は、標的を射るか、地に落ちるか。
 
 

24話:

崩れ去る信義、裏切られる愛、断ち切られる絆。
そのとき、うめきを伴って流される血。

人は、なぜ。
理想も愛も牙を飲み、涙を隠している。

血塗られた過去を、見通せぬ明日を、
切り開くのは力のみか。

次回「潜入」

キリコは、心臓に向かう折れた針。
 
 
 

25話:

時代は撓(たわ)みに撓み、そして、放たれた。
怒濤とは正にこれ。疾風とは正にこれ。

奥クメンを荒れ狂う狂気と殺戮。

因習も伝統も火に焼かれ、波にのまれ、
過去へと流され行く土砂流。

悲劇は堆積され、歴史となり、神話となる。

次回「肉迫」

キリコは、歴史の裂け目に打ち込まれた楔。
 
 

26話:

クメンでの旅が終わる。
振り返れば遠ざかる緑の地獄。
友よさらば。

薄れ行く意識の底に、仁王立つ数々の修羅像。
耳に残る叫喚、目に焼きつく炎。

次の旅が始まる。

旅と呼ぶにはあまりに厳しく、
あまりに悲しい、
過去に向かってのオデッセイ。

次回「暗転」

キリコは、次の巡礼地に向かう。